ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)
新渡戸稲造
高貴なるものに伴う義務
力を知るからこそ負うべき義務がある
新渡戸稲造は著書「武士道」の中で、武士道とは武士にとっての「身分に伴う義務=ノーブレス・オブリージュ」であると位置づけています。
「ノーブレス・オブリージュ」とは、フランス語で「高貴な立場に伴う義務」という意味ですが、そもそも武士道とは武士という特権階級の中の掟です。
今や日本人誰もが触れてはいますが、元々は武士だけのものです。
権力を持ち、人の上に立つ者には、守るべき義務がある…
それが「ノーブレス・オブリージュ」です。
「職権乱用」とか、最近では「パワハラ」とかいった、有権力者による間違った権力の使い方は、この「自分の立場において背負うべき義務や責任」を理解していないからこそ起こるのだと思います。
武士道における「義=正しいこと」も「仁=優しさ」も伴わない権力とは、もはや暴力でしょう。
力を持つということは、同時にその力に対する責任を持つということでもあります。
そしてその力を自ら制御するために、それなりの義務を背負うことになるのです。
今を生きる私たちには「身分」というものはありませんが、「立場」というものがあります。
社会における立場や仕事における立場もあれば、家庭における立場というのもあるでしょう。
それぞれの立場において、それぞれの責任、義務があります。
人の上に立つ人ばかりではなく、それぞれの「ノーブレス・オブリージュ」を自覚すべきだと思います。