自腹を切る
腹とは魂の在りか
今でも普通に使われる説明不要の言葉ですが、語源は文字通り「切腹」からきています。
かつて、人の魂は「腹の中」に宿るものと考えられていました。
「切腹」が名誉なことだと思われていたのも、命をかけて自分の腹の中のさらけ出し、身の潔白を証明する機会を与えられたという意味があったからだと言われています。
日本人は「腹」にたくさんの意味を込めています。
「腹が立つ」
「腹を括る」
「腹を探る」
他にもたくさんありますが、やはり「腹」というのは「心」を意味する言葉として使われています。
「身銭を切る」という言葉も同じ意味ですが、「自腹を切る」のほうがよく使われているのも、私たち日本人が「銭」より「腹=心」を重んじているからではないでしょうか?
損得だけで考えたら誰も自腹など切りたくありません。
しかし、自分で痛い思いをして初めて分かることもたくさんあるのです。
自ら事業を営む人なら、時として自腹から逃れられないこともあるでしょうし、その額もそれなりのものでしょう…
損得だけを考えたらやってられません。
切っているのは「銭」ではなく「腹」…
良くも悪くも、それより大切な何かを見出している、見出そうとしているのだと思います。
仕事は仕事として、個人の所有物や時間を注ぎ込むのはどうか…!?という考えも確かに分かりますし、できればそうやって明確に区別できる生活を送りたいものですが、何もかもが綺麗に割り切れるものではないでしょう。
仕事も人生も、決して算数ではありません。
足して引いて、その結果で価値が決まるわけではないのです。
割に合わない…
そんなことの中にも、価値が見出される時があるのだと思います。
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